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体育祭当日



いつもより早く家を出て、いつもより一本早い電車に乗る。



ただそれだけ……


___『俺は好きだよ。そういうとこ』


昨日の言葉を思い出し、一気に顔が赤くなる。


いや、顔が赤くなるのも無理はない。


あの後わたしは、返事はしなかった。


咳払いして、変に誤魔化した後に2人で並んで駅まで向かった。


そう、ただ、それだけ。



少しだけ冷たい風が長い髪を靡かせていく。


降りる駅、階段を下り、ロータリーに着けば
同じ学校の同じ制服の仲間たちがすでに盛り上がりを見せていて、体育祭に気合いを入れているのが伝わる。



私はそんな仲間たちの横をスルスルと通り抜け、住宅街を横切って狭い道を歩いていく。


途中、野良猫が前を歩きだして癒される。


そう、こうやって忘れていけばいいの。


私は所詮、妹枠なのだから。