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予行練習も無事終わり、帰りの準備をしだす私たち。
やけに横が気になるが、いつもよりもそそくさと支度をし始める私に、隣の青空くんが「なんね。落ち着かん奴やな。今日はスーパーの特売セールなんか?」なんて言って揶揄われる始末。
「違うよ!疲れたから早く帰りたいの!」
入学して1ヶ月も経てば青空くんの揶揄いにも慣れたものだ、と感心してしまう。
青空くんは「なんね」と困りながらも
「愛須、帰るばい」と航くんに声をかけていた。
「あっごめーん、ちょっと今日胡桃ちゃんと帰らせて」
「「はい!?」」
不意のお誘い文句に私は青空くんと同じ返答をしてしまい、そして案の定、固まる。
航くんはニコニコと和やかな表情のまま、私の前に立つ。
本当に不思議な人だ。
「行こうか、胡桃ちゃん」
「あ、えっと。うん」

