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体育祭の予行練習…といっても私の出番の"借り物競走"は特にやることはなく、点呼の確認と順番の確認だけだ。



喜びたいところだが、逆に何もない方が不安でいっぱい。



「大丈夫?顔真っ青よ」



「タブンネ、ダイジョブ…」



青空くんと一緒で"障害物競走"が出番の貝崎さんは、自分の出番までそばにいてくれて、とても心強い。



暑い日差し、湧き上がる熱、滴る汗、乾く喉。



明日の本番が、私にとってどんな影響が出るのか想像もつかないまま予行練習は進んでいく。



「次学年対抗リレーじゃない!?」
「早く場所取りしないと!」
と、練習とはいえ、周りの女子たちは何やら盛り上がりを見せていた。



「お姉ちゃんが言ってたとおりね」


「言ってたとおり…?」


よくぞ聞いてくれた、というように貝崎さんは眉を上げて話し出す。


「学年対抗リレー、通称イケメンリレー。
この学校の体育祭の伝統種目になっている競技なの」


「イケメンリレー…?」


「ほら、集合し出したわ」



貝崎さんの指さす方向を見てみると、女子たちの大群を目にする。



近くには、航くんの姿がいた。



ジャージ姿ではあるが、腕を捲っていて白い肌がよく目立つ。


余裕そうに校庭に座る航くんに目が離せず固まってしまう私。



「イケメンリレーってもしかして…」


「何故だかね、何故か選抜される男子はみんなカッコいいの容姿の集まりになるらしいわよ。
まあ、私は別にかっこいいとも何とも思わないけどね。
大事なのは中身よ、中身」


「へえ……」


「漣さんも向こう行ってもいいわよ?
よく見えるわ、愛須さんがね」


「え!?」


「ふふ、分かりやすいわね」