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入学式もあっけなく終わり、ぞろぞろと2列に並び教室に戻るクラスメイトたち。



明日からこの仲間と過ごすという未知な感情に、意味もなく鼓動が早くなるのがわかる。



「胡桃ちゃん」



声をしたほうを振り返ると、すぐ近くに航くんの姿。



なんだか申し訳ないなと思ったのも束の間。



航くんの横で、先ほど教室で仲良く話し込んでいたクラスメイトの1人が顔をだす。



「なんや。1番やて思うたとに。違うと?」



東京では聞き慣れない方言を言う彼。


金髪のセンター分けで、制服も独自の着こなし。


絶対に関わる事がないに等しい人種の1人だ。



「胡桃ちゃんだよ。不器用な女の子」


「えっ!ちょっと!」


思わず人が多い廊下で大きな声を出してしまった。


「ふーん。元気やね。
俺、青空 楓(アオゾラ カエデ)よろしゅうな〜」



「あっはい…どうも」



この一瞬でも青空くんは私を苦手意識の部類として判断したのか、軽蔑したような表情をしていたのを私は見逃さなかった。



それは私にも言える事。


ここで航くんとの関係は終わるという事。



私も同性のお友達探すの頑張らないといけないな、とキョロキョロ周りを見渡すが、もう既にグループが出来上がっていて、教室に入ってからもそれは変わらなかった。