男は何度か俺の名前を口にした後、 「芸名みたいだね」 と感心したように言った。 「はあ...」 もっと何かすごいことでも言われるのかと 身構えていただけに、 思わず情けない声が出た。 「ああ、ごめん。 変な意味じゃなくてさ。 綺麗な名前だなと思ってさ。」 そう言って、男はにっこりと笑った。 俺は、この男をなんだか不思議な人だなと思った。