七日間だけの、 恋予報

急いで制服に着替えて、バタバタと階段を駆け下りる。
リビングの扉を開けると、ふわりと焼きたてのパンの香ばしい匂いが鼻をくすぐった。

「もう、ノア遅い！」

栗色の髪を揺らしながら、姉のアリスが不満げに眉をひそめる。

「ごめん、姉さん。」

肩をすくめて謝ると、アリスはじっとこちらを見つめた。

「……あんた、まだ咲空ちゃんにOKもらえなかったの、引きずってんの？」

唐突な言葉に、胸がぎゅっと縮こまる。

「私なんてこの前彼氏に振られたから。マシだと思いなさいよ」

そう苦笑いを浮かべ自虐的な口調でそう言った。
でも、正直きっぱり振られた方がうらやましかったりする。
だってこんな、お試しだなんて望んでいないし、好きでないのなら振られたかった。

「どうだろう？僕は好きじゃないなら振られた方がマシだと思うけどな」

自分に語り掛けるように静かにそう言う。

「ごちそうさまでした。朝練行ってくる」

席を立ってかばんを持って家の扉を開けた。