七日間だけの、 恋予報

咲空さんの家の表札を見る。
何度見たかはわからない、見慣れた文字。
だけど今日は、いつにも増して遠く感じだ。
インターホンに指を伸ばしては、すぐに引っ込める。
緊張で、心臓が小さく跳ねるし指先は震える。
結局、門の前で立ち尽くして、もう十分以上が立っていた。

「今度こそ、押して……!」

小さく気合いをいれ、今度こそとインターホンに指を近づけたその時。

「ノアくん?こんなところで何をしているの?」

背後から聞き慣れた、でも少し不思議そうな声。
振り返らなくてもわかった。咲空さんだ。
気まずいというか、やらかした、に近い。

「あ〜・・・・・おはよう」

情けない間抜けな第一声。
なんの答えにもなってない。
恐る恐る顔を見ると明らかに困惑している。
その瞬間、顔が熱くなった。
ああ、なんでこんなに僕はダメなんだろう。
咲空さんは首を傾げながら

「ええ、おはよう?」

そう言った。
やっぱり、僕の勘違いでなけれど、語尾にくっきりと疑問符が浮かんでいた。
自分が情けないやら、咲空さんに申し訳ないやらでもう穴があったら、いや穴を掘ってでも入りたかった。
そんな僕に、咲空さんは小さく笑いながら。

「あのーとりあえず、学校に行かない?時間ないし」

そんな彼女の言葉で、我に返る。
慌てて腕時計を見ると、もう八時を少し回っていた。

「ああ、そうだね」

なんとか答えて、彼女と並んで通学路を歩き出した。
朝の空はどこまでも青くて、足元の影がふたつ、並んで伸びていった。