七日間だけの、 恋予報

支度が終わり、急いで家を出ようとして姉の部屋の前でふと立ち止まった。
少し思い浮かんだのだ。

「姉さん、咲空さんってもう家出たと思う?」

そう聞いた。
正直気まずいどころじゃないけど、まぁいたしかたない。
姉以外にこんな情報を知っていそうな人はいないのだから。
それに、気まずい云々以上に、彼女に会いたい気持ちが強かった。
すると、扉を開け顔を覗かせた姉がちょっと意地悪そうに笑う。

「さっきの謝ったらいいよ。教えてあげる」

そう言ってきた。不機嫌はいまだに治っていないらしい。

「ごめんって」

しぶしぶ謝ると、姉はすぐにぱっと笑顔を見せた。
単純だけど、そんなところがちょっと憎めない。

「多分まだ出てないと思うよ〜」

そう言った。
全くちょろいことだ。

「なるほど、ありがとう」

軽く手を振って、家を飛び出す。
朝の光が、まだ少し眠たそうな街を優しく照らしている。
僕は学校とは反対方向へと、迷いなく走り出した。
向かう先は、水瀬家、咲空さんの家だ。