短い刻の中で過ごした彼との思い出を
ひとつひとつ噛み締める。

川辺の流れを見ていたら
草むらの真ん中に何か光る物が落ちていた。

ー何だろう?

不思議に思って近くまで足を運ぶ

草むらにしゃがみ込み光るものを手に取った

「こっ…これって」

慌てて拾い上げてみると
夜空色した星の髪飾りと黄色の短冊が落ちていた。

ー月影…

あの時の黄色の短冊に込められた最後の言葉

“星羅、愛してる”

綺麗な字で書かれた精一杯の想い 

同封してあった夜空色の星の髪飾りは
七夕祭の日の内緒で買ってきてくれた物だと思った。

月影の想いと優しさに
私は涙が溢れて、月影の形をギュッと抱きしめる

私は夏の風に吹かれながら七夕の日が訪れる度に思う

短冊に願いを込めてー…

ー私はあなたの事が大好きです…と

【完】