「先生、ありがとうございました」

荷物を持ちながら先生の顔をしっかりと見つめる。

「お大事になさって下さいね」

先生はカルテと診察券の入ったファイルを持って
細められた優しい目をしてふんわりと笑みを溢した。

「あっ、佐原さん、これ持って受付に持って行ってくれますか?」

渡されたのは診察券の入ったファイルだった。

「あっ、はい!いいですよ。」

時々、こういった小さなお手伝いが出来て
先生の役に立てる喜びを私は噛み締めていた。

先生からファイルを受け取り、先生に頭を下げた。

リハビリ室を後に
私はファイルを持ちながら

ーやっぱり先生の事が好きだなぁ

と思うのだった。

【完】