うつ伏せで顔はよく見えないけれど
とても楽しかった様子の声に私も嬉しくなった。

ー先生と一緒に行ってみたいなぁ…

叶うはずもない妄想に浸りながらも
先生はマッサージする手を止めて
「仰向けです」と言い
私はうつ伏せから起き上がり仰向けの姿勢になった。

「でも先生、確か人混みが嫌いだと仰ってましたよね」

「確かに、そうですね。」

マスク越しからふんわりと笑みを溢す。

ーあっ…

その優しい目にドキドキしながら
私は目を逸らし
先生は何も気にする素振りもなく
私の腕を持って伸ばしたり曲げたりしながら
マッサージに専念して会話はそこで途切れた。