「お願いします」

そう言って私が合図するとともに
先生の大きな手がグッと力強く左の肩甲骨を押した。

「っ…くぅ…」

顔が顰めっ面《しかめっつら》になる。

普段から姿勢が悪いと言われて
左肩周りから肩甲骨にかけて凝りがひどく
整形外科に通うだけでなく
先生から教わった家で出来るストレッチ体操も欠かせない。

痛さと気持ちよさがちょうど良くて目を瞑る。

ゴリゴリと凝った部分に
先生の親指が満遍なくマッサージを施す。

時間が流れるかのように
会話のないままリハビリ室からBGMの曲が流れてる。