家出少女、拾われる

 「おかえり、雫」

 そう、お母さんが言う。


「では、俺はこれで」


 そう言って作太さんが離れていく。
 それを見るのが正直辛い。

 作太さん行かないで、そう言いたい。


 でも、私はすでに、彼に迷惑をかけてしまっている。


 これ以上迷惑をかけるのは嫌だ。



 私には遠ざかって行く彼をただ、黙って見送るしかできなかった。