家出少女、拾われる


 私はとにかく働いた。


 作太さんの家は居心地がいい。
 住み心地がいい。
 やっぱりこの家は好きだ。私のいた家よりもはるかに住みやすい。


 しかも生活の中で、生きるすべを学べて行く。

 こんなに充実している日々は初めてだ。そうとさえ思う。


 でも、やっぱり不安はぬぐえない。

 だって、私は家出したとは言っても、学生。学校関係の柵には縛られる。
 そこらへんでどうしても不安な気持ちは芽生えてくる。
 私は、私の選択を悪にしたくないのに


 「大丈夫かい?」


 ふと尋ねられた。
 見ると、作太さんがいた。


 「大丈夫です。でも、やっぱりいつまでもここにいていいのか不安で」


 だって、いつまでもお世話になっていていいのかもわからないし。
 元々、何の計画性もなしに家を飛び出してしまったことを悔いる。
 そうじゃなかったら、もっとうまく色々考えられたはずなのに。


 「大丈夫だよ。君は一人じゃない」
 「ありがとうございます」


 その言葉は、私に勇気をくれる。
 ありがたい。

 「もし戻りたくなったら戻ればいい。その時には、連絡位はつなげてあげるから、その勇気を与えてくれるから」
 「ありがとうございます」