家出少女、拾われる


 「俺に出来る事はないか?」


 向こうからそう言った声が聞こえた。
 え?

 「あの」
 「雪下作太だ」


 名前。そう言えば知らなかった。


 「作太さん、私の自業自得だから別にいいですよ」
 「そう言う訳にもいかない。だって俺が家に入れてるんだから、面倒は見ないと」
 「そ、そうですけど」
 「だから、何かあったら言うんだよ」


 朗らかな笑顔で言ってくれる作太さん。優しすぎる。

 私が転がり込んだという形に近いのに。


 「ありがとうございます」


 私は彼にそう告げた。

 すると、

 「とりあえずこれだけ」


 作太さんはそう言って痛み止めを持ってきてくれた。

 私は感謝をしてそれを飲んだ。