家出少女、拾われる


 そして彼の家に着いた。
 彼の家は思った以上に大きい。
 土地代とかが都会に比べて安いからなのだろうか。


 私は彼について行き、家に入る。
 そして入り口にある遺影?に向かって、彼は頭を下げた、

 「これって」


 私は、疑問を口にする。


 「俺の両親だ。俺の両親は殺されたんだよ」
 「え?」
 「まあ、犯人は捕まったんだけどな」
 「……私の両親は、交通事故だけど……」
 「は、そうか。まあでも、互いに肉親が他界してる。だから見捨てられなかったよ」


 そして中へと入っていき、タンスを開けた。
 彼はそこから手慣れた手つきで、布団を取り出す。


 「とりあえずこれからのことは置いといて、眠れ」
 「え、いいの?」
 「仕方なくだ。というかお前の方こそいいのか?」
 「へ?」
 「だって俺は男だ」

 ああ、なるほど。

 「だって、それならそれでいいから」

 別に私は襲われたいわけじゃない。
 でも、今の現状が変わるなら、受け入れる。

 今まで、私の無力感にさいなまれた今、私の唯一持ってる武器を使う事になっても甘んじて受け入れよう。


 それが今の私の考えだ。
 そんな経験なんてないのだから、どういう感じなのか一切わからないけど。


 「馬鹿なことを言うな。俺にはそんなつもりはねえよ。ほら」


 布団がかぶせられた。


 「寝ろ」


 それは、私にもう何も言うなと言っているかのような。
 そんな圧のあるような声だった。



 「はい」


 そして電気が消された。



 不思議と、眠りやすい。昨日のホテルよりも寝やすい。
 今も不安だ。これから何が起きるのか分からない。


 だけど、少しだけ不安は解消された。
 自分勝手な考えだけど