「来た」
そう声が響く。
太一君だろう。
私は本当に足て惑いだなと思う。
暗い道をわざわざ歩かなかったらよかった。
でも、今更悔やんでももう遅い。
私にできるのは、太一君が勝つように応援するのみだ。
「夢を返してもらう」
「おーん? 俺の方が優勢なことを忘れてんじゃねえよ!!」
そう男が言った瞬間、打撃音が鳴った。
太一君が殴られた??
「おら、そっちも濃いよ。俺は一方的な殴り合いは好きじゃねえんだ」
そして、ガンガンと、音が鳴り響く。
喧嘩、ケンカ喧嘩。
先輩――太一君は不真面目なだけで不良ではない。
部が悪いだろう。
「先輩頑張って」
私はそう叫ぶ。



