「どうして、先輩と縁を切ってよ」
「そうじゃないの。先輩はむしろ光を助けてくれた人らしいから。先輩は光をさらった人たちの知り合いだから呼ばれただけで、誘拐には関与してない。それに、先輩は警察を呼んでくれたんだよ」
「嘘かもしれないじゃん」
そう光が叫んだ。
「あの日、私はつらく悲しい思いをした。あの時、私は初めて命の危機を感じた。あれが、嘘だったってこと? そんなわけない。あの時あの場に君島先輩がいたのを確かに感じたもん」
おびえている。
確かに私が今言った言葉が本当である証拠はない。
そう思ったら、先輩が口を開いた。
「俺は、あの時すぐに行動を起こせなくて済まないと思っている。俺は結局、大事になるのを避け警察を呼んだだけで終わったんだ。俺がちゃんと、君の目の前でボコっていた方がよかった。そう思って反省しているよ。
俺は確かにあいつらの連れだった。でも、あいつらは人の道を外れてしまった。少年院に入れられているのがその証拠だ。
誘拐なんて絶対に許せないし、もし俺が警察に通報できなかったら、そう思うと、今でも怖い。
最後に一つ謝らせてくれ。君のことを不安にさせてすまなかった」
そう言って先輩は向こうへと歩き出す。
「光、今の聴いてどう思う?」
「今のは嘘じゃないと思う。でも、分かんないの。私はあの人のことが……」
そう言って悩みだす光。
「私は少しずつ答えを見つけて行ったらいいと思う。あんな目にあったわけだし、そりゃトラウマを持ってても不思議じゃない。だから、私は光の選択を支持するよ」
「……私は」
私はそんな光の頭をよしよしと撫でた。



