彼女の話によると、君島先輩は不良の一角で、光を中学の時に誘拐しようとしていた人の一派らしい。
そして光は、強姦されそうになった。
でも、その日の夜、名も知らぬ男が助けてきたらしい。
でも、その時のトラウマは計り知れないものらしい。
光は今もその時のことが忘れられないらしい。
そんな過去初めて知った。
「それじゃあ、君島先輩が不良の一角であることは確定なの?」
私が訊くと、光はただ頷いた。
「顔を見たもん。ちゃんと」
その声はひどく鋭いものだった。
顔を見た。その時のことを覚えてるということなのだろう。
「だからお願い。あの人に関わらないで」
「っわかった」
私は飲み込め切れていない。
でも、あくまでもそれは、光の主観の話だと思う。
先輩から聞いたら別の答えが返ってくるだろう。
私は正直否定してやりたかった。
でも、私は否定出来るほど先輩のことをあまり知らないのだ。



