君に会って、ハッとした。

昔の気持ちが蘇った?

違う違うそんなことじゃなくて、子供の話だ。

「僕としては反対する理由はない」と伝えた。

君は少し怒った顔で、「過去のこと内緒にできるの」と聞いた。

僕は無責任にも、「ばれたらばれたときのこと、もう昔のことだから」と答えた。

君は「それで本当にいいの?」と聞いてきた。

ぼくは「いいよ」と言いながら、もう君のことで頭がいっぱいになってきた。

いや、今の気持ちは隠そう。

言ったって、なんにもならない。

子供の結婚に差し障りがあるだけだ。

でも、僕がこんな気持ちで、子供を結婚させていいのか

君が離婚していることも、君の両親が他界していることは聞いていた。

僕の両親も妻も亡くなっている。

ばれても支障は少ないんじゃないかな。

お互い友達には口止めをしよう。

付き合ってなかったことにしようと提案して、君の眼をしっかり見た。

目が合って、沈黙があった。

君はドキッとしたように目をそらして顔を下に向けた。

耳が赤くなっていく。

もしかして君は?

今も?

そんなはずがない。

でも、僕は今も君を愛してる。

愛してるよ。

もう我慢できない。

「子供と一緒に、僕たちも結婚式挙げへんか?」

君は少し怒った顔になった。

「一緒にって何!今日再会したばっかりやん、告白もされてないし、返事もしてないで」

「僕は今も愛してるよ! 久美」

僕は顔を上げた君を見つめ、言った。

君の目から涙が溢れるのを見た。

「アンタなんかきらい!」と言った君は、もう嗚咽しながら泣いていた。

「僕は愛してるよ」

僕の頬にも熱いものが流れるのが分かった。