きみの笑顔が咲く日まで


「時間取らせて悪かったな。」
「いえ、大丈夫です。」

そう話しながら、わたしたちも帰る為にフロアの廊下を歩いて居ると、商品部から出て来る葵くんの姿が見えた。

葵くんはわたしが杉浦主任と一緒に居ることに気付くと、複雑な表情を浮かべた。

「お疲れ様です。」

少し面白くなさそうな表情をする葵くんがそう言い、杉浦主任は「お疲れ。」といつも通りに返す。

「じゃあ、楠木。また明日な。」
「はい。」
「お疲れ。」
「お疲れ様です。」

そう話すと、杉浦主任は葵くんの肩をポンッと叩いてから、何も言わずに帰って行った。

すると、杉浦主任の姿が見えなくなってから、葵くんは慌てた様子でわたしに駆け寄り「杉浦主任と何かあったの?!」と不安気に訊いてきた。

しかし、わたしは「ううん、何もないよ?」と首を横に振って微笑んで見せた。

「本当に?」
「本当!」
「一花、、、これから予定ある?」
「ううん、友達が居ないわたしに予定なんてあるわけがないじゃない。あるとすれば、おじさんとおばさんか、あとは、、、葵くんとの予定くらいかな?」

わたしがそう言うと、葵くんは切なげに微笑み「じゃあ、これから俺ん家来ない?」と言った。

それを聞いて気付いたが、わたしはまだ葵くんの家に行ったことがなかった。

わたしは「うん、行く。」と返事をすると、二人揃って退勤して、葵くんの車で葵くんの自宅へと向かった。