それからわたしたちは、喧嘩という喧嘩もなく、二人穏やかで愛おしい日々を過ごしていた。
そして、わたしたちは高3になり、新はお父さんが経営する会社を継ぐ為に経済学を学ぶべく、大学進学を希望しており、勉強に部活に忙しそうだった。
それでも新はわたしとの時間を少しでも作ってくれて、部活引退後のある日の日曜日、久しぶりに一日中、新と一緒に過ごすことが出来た。
一緒にランチをして、芝生が広がる大きな公園を二人で手を繋ぎ散歩して、ただ新と一緒に居られるだけで幸せだった。
すると帰り間際、新に「実は、一花に渡したい物があるんだ。」と言われ、わたしたちは公園のベンチに腰を掛けた。
わたしは何だろうと思いながら、新に「何?」と訊いた。
新は少し照れくさそうにポケットから四角い箱を取り出し、わたしの目の前でそれを開いて見せた。
「え、、、」
わたしはその箱の中を見て、思わず両手で口を覆った。
その中では、二つのリングが連なったネックレスが輝いていたのだ。
「一花にプレゼントしたくて、、、実は内緒でバイトしてた。」
「えっ?!勉強と部活で忙しかったのに、バイトまでしてたの?!」
「サプライズがしたくてさ。どう?驚いた?」
そう言って、新は微笑んだ。
わたしにサプライズがしたくて、忙しい中、バイトをしてネックレスを買ってくれたの?
わたしはあまりの嬉しさに涙を流し、「ありがとう!」と新に抱きついた。
「喜んでくれたなら、良かった。このネックレスさ、リングが二つ繋がってて、それが俺には結婚指輪に見えてさ。だから、いつか、、、俺が親父の跡を継いで立派な社長になれた時、一花と結婚したいっていう意味を込めて、一花にプレゼントしたかったんだ。」
新はそう言うと、「これ、俺からつけさせてもらっていいかなぁ?」と言った。
わたしは手の甲で涙を拭うと、「うん。」と頷き、新は箱からそっとネックレスを取り出すと、わたしの首につけてくれた。
「可愛い、、、どう?似合う?」
わたしが首元に手を触れながらそう訊くと、新は優しく微笑みながら頷き「うん、やっぱり似合ってる。」と満足そうに腕を組んだ。
「今はネックレスだけど、いつか、、、本物の指輪を買って、ちゃんとプロポーズするから。俺が一花を幸せにする。それまで待ってて欲しい。俺以外の男のとこに、行かないでくれよ?」
新はそう言うと、わたしを抱き締めた。
わたしは新の背中に腕を回し「他の人のとこになんて行くわけないでしょ?」と言う。
新は抱き締める腕に力を込めると「一花、ずっと一緒に居ような。愛してる。」と囁いた。



