きみの笑顔が咲く日まで


食事が終わると、わたしはおじさんに「新の部屋、見てきてもいいですか?」と訊いてみた。

おじさんは不安そうな表情を浮かべながら「大丈夫かい?」と心配してくれたが、わたしは「大丈夫です。」と笑顔で答えた。

「じゃあ、俺も一緒に行くよ。」

葵くんはそう言い、わたしたちはリビングを出てすぐそばにある階段を上った。

左手前にあるのが今は一人暮らしをしている葵くんの部屋、一番奥にあるのがおじさんとおばさんの部屋。

そして、右手前にあるのが新の部屋だ。

わたしは新の部屋のドアの前まで来ると、ドアノブに手を掛けた。

しかし、いざ中へ入ろうとすると、手が震え出し、なかなかドアノブ押すことが出来なった。

「一花、、、大丈夫?」

わたしの様子に心配して声を掛けてくれる葵くん。

わたしは「うん、、、大丈夫。」と答えると、一つ深呼吸をしてからドアを開けた。

そして、そこに広がっていたのは、当時のままの新の部屋だった。

新がまだ居るんじゃないかと思う程に綺麗で、おばさんがずっとこの状態を維持しているのが分かる。

わたしは部屋の中に一歩足を踏み入れると部屋中を見渡した。

壁には、バスケ部だった新のユニフォームが飾ってあり、わたしはあまり詳しくないが、新が好きだったブランドの小物が飾れてあって、当時使っていた通学用のリュックもデスクの椅子に置かれていた。

「、、、新のニオイがする。」

わたしがそう言うと、葵くんは「えっ?!もう10年も経ってるのに?!」と驚いていたが、わたしには不思議と新のニオイが感じ取れたのだ。

それからわたしは新のベッドの上に腰を掛けた。

よくこの部屋で受験勉強したなぁ。

そして、初めてのキスをしたのもこの場所だった。

新、、、何で居ないの?
まだまだこれから一緒に居るはずだったのに、、、

何でわたしを置いていっちゃったの?