きみの笑顔が咲く日まで


「ただいま。」

葵くんが渡利家のドアを開け、中へと入ろうとすると奥の方からスリッパのパタパタする音が聞こえてきて、それから「おかえり!一花ちゃーん!」とテンション高めのおばさんが駆け寄って来てくれた。

おばさんはガバッと勢い良くわたしに抱きつくと「おかえり。」と頭を撫でてくれた。

そしてわたしは「ただいま。」と答える。

"おかえり"

わたしはその言葉が胸の奥底染みて、涙が溢れてきてしまった。

"おかえり"って、いい言葉だなぁ。

わたしは、渡利家の一員として認めてもらえてる気がして嬉しかった。

「さぁ!娘が帰って来たことだし、おばさん張り切ってご飯作るから!」
「おばさんのご飯楽しみ〜!」

そんなおばさんとわたしの姿を見て、ポカンとしている葵は「俺は?」と自分を指差していた。

その後、おばさんがご飯を作ってくれている間にわたしは葵とソファーに座り、テレビを見ていた。

10年も経てばリビングのの家具や配置も変わってはいたが、雰囲気だけはあの頃のままだった。

すると、玄関のドアが開く音がして、リビングのドアが開いた。

「ただいまぁ。おっ、一花ちゃん!」

そう言ってカバンを食卓テーブルの椅子に置き、ジャケットを脱ぐおじさんは「やっぱりみんな揃うと嬉しいなぁ。」と笑顔で言った。