きみの笑顔が咲く日まで


すると、おじさんは「佐島さん。」と自分は関係ないフリをする彼女の名前を呼んだ。

佐島さんはおじさんに名前を呼ばれ、キーボードを打つ手を止めると、ゆっくりとこちらを向き「はい、社長。」と言った。

「佐島さん。君、、、昨日、残業していたみたいだね。」

おじさんは佐島にゆっくりと歩み寄りながらそう言った。

「はい、、、急ぎの仕事がありまして。」

しどろもどろに答える佐島さんは、おじさんの顔も見れず、俯きながらそう答えた。

「その仕事っていうのは、商品部でやらなきゃいけない仕事だったのかい?」
「えっ、、、」
「佐島さんは、営業部だよね?それなのに、何で商品部に居たんだい?」

おじさんの言葉に表情を強張らせ、言い返す言葉が見つからない様子の佐島さん。

それでもおじさんは話を続けた。

「さっき総務に言って確認したんだよ。そしたら、昨日偶然にも残業して19時半まで残っていたのは佐島さんだけだったんだよ。それから警備室に行って、昨日見回り担当だった警備員に話を聞いたところ、19時頃に真っ暗な商品部の事務所内に一人女性が残っていたと聞いてね。そうなると、、、佐島さんしか考えられないんだよね。」
「そ、それは!商品部で確認したいことがあってパソコンを借りていただけで!」
「まだ言い逃れするのかい?もし、そこまで自信があるから、監視カメラで確認してもいいんだよ?うちの監視カメラは性能が良くてね、ズームにしてもハッキリと見えるようになっているんだよ。」

おじさんがそう言うと、佐島さんは歯を食いしばり、「渡利さんもそうですけど、社長もどうしてそんなに楠木さんを庇うんですか?!」と悔しそうに声を荒げた。

するとおじさんは落ち着いた様子で「庇う?人の仕事の邪魔をして、会社に迷惑をかけているのは誰だい?無駄な作業を増やして、、、佐島さん、次このようなことがあったら、君は違う支店に異動してもらうからね。」と言うと、おじさんはわたしの肩を抱き、「さぁ、戻ろうか。」と言い、それから廊下に出るとおじさんは「杉浦くん、佐島さんには気を付けて。楠木さんと関わらせないように、頼むよ。」と小声で言った。

「はい、承知しました。」

それからおじさんはわたしに向けて申し訳なさそうな表情を浮かべると「一花ちゃん、本当に申し訳ない。嫌な思いばかりさせてしまって。お詫びと言っちゃなんだが、今日の夕飯は久しぶりに我が家で一緒に食べないかい?妻も一花ちゃんに会いたがってるんだよ。」と言ってくださった。

わたしはおじさんのその気持ちが嬉しくて、「はい、伺わせていただきます。」と返事をしたのだった。