「一花は何飲む?酒飲める?」
「飲めるっちゃ飲めるんだけど、普段飲まないし、あまり強くはない。」
「そっか、じゃあ、レモンサワーとかにしといたら?」
そう言って、葵くんは生ビール、わたしはレモンサワーで「お疲れ様!」と乾杯をする。
「はぁ〜!うめぇ〜!」
そう言う葵くんを見ては、新もお酒が飲めるようになったら、こんな感じだったのかなぁ、と思ってしまうわたし。
すると、葵くんは「商品部での仕事はどう?」と訊いてきた。
「今のところは楽しく仕事出来てるよ。杉浦主任は優しいし、周りの商品部の人たちも良い人ばかりだから、仕事しやすい。」
「そっか、それなら良かった。でも、杉浦主任には妬いちゃうなぁ〜。」
「えっ?何で?」
「一花のそばで仕事が出来てさ。」
葵くんは照れくさそうにそう言うと、ビールを喉へ流し込んだ。
「俺さぁ、、、ずっと、一花のことが忘れられなかったんだ。」
「、、、ごめんね。心配かけちゃってたよね。」
「いや、、、心配はもちろんだけど、それ以上に、、、一花への想いが膨らんでいってさ、、、苦しかった。」
わたしは、葵くんの言葉の意味が一瞬では理解出来なかった。
葵くんは優しくも切なげな表情でわたしの方を向くと、「俺、、、ずっと一花のことが好きだったんだ。」と言った。
「、、、えっ?」
「兄貴が一花を家に連れて来たあの日から、俺の中では胸にグッとくるものがあってさ。」
「で、でも、あの時、葵くん小学生だったよね?」
「うん、そうだよ。俺もさ、最初は年上のお姉さんに抱くただの憧れだと思ってた。でも年齢を重ねるごとに"あ、これはただの憧れじゃない。俺は一花に恋をしてるんだ。"って気付いた。」
葵くんの言葉に何と返したら良いのか言葉が見つからないわたし。
葵くんは照れながらも穏やかな表情で運ばれてきた豚串に視線を落としていた。
「だから、一花、、、少しずつでいい、、、もちろん一花が兄貴をまだ想い続けているのも分かってる。でも、、、俺の気持ちも、理解してほしいとは言わないけど、その気持ちに留めておいてほしい。」
そう言う葵くんは優しく微笑むと、「ほら!豚串!食べてみて!旨いから!」と勧めてくれた。
わたしは豚串を一本手に取ると、一口食べては「美味しい!」と葵くんに微笑んで見せた。
そんなわたしを見た葵くんは、テーブルに頬杖をつき「やっぱり俺、一花の笑顔が好きだ。」と呟いたのだった。



