しかし、わたしはその時の佐島さんの表情を忘れられなかった。
憎しみがこもった、わたしを睨み付けるその瞳を。
それから一週間ほど経った時だった頃だっただろうか。
わたしは午後の定時ギリギリまで次の日の朝イチに送る為に、取引先に送る発注一覧とメールの準備をしていた。
「楠木さん、大丈夫?帰れそう?」
杉浦主任に気に掛けて声を掛けてくれる。
「はい、大丈夫です。朝イチで送れるように準備しておきたくて。」
わたしがそう言うと、いつもクールな杉浦主任は微かに微笑み「本当に楠木さんは仕事熱心だよな。」と言ってくれた。
その後、何とか定時までに仕事が片付き、帰る支度をし事務所を出ると、事務所向かいの壁にもたれかかる葵くんの姿があり、「お疲れ!」と声を掛けてくれた。
「お疲れ様。」
「ねぇ、これから時間ない?」
「え、大丈夫だけど、、、」
「なかなか一緒に飯食う時間もなかったからさ、一緒に飯行かない?」
葵くんの誘いにわたしは「うん、行く!」と返事をした。
それから向かったのは、営業部の飲み会でよく利用するという居酒屋。
「ここの豚串旨いんだよ!」
そしてテーブル席に案内され、対面に席につくわたしたち。
葵くんと二人きり、、、
それは新とのデートを思い出させ、少し複雑な気持ちになった。



