きみの笑顔が咲く日まで


そして、休憩を挟み、その二時間後の事だった。

商品部に「楠木さん居る?」と言う声が聞こえ、わたしはその声が新、、、じゃなくて、葵くんの声だとすぐに気付き後ろを振り返った。

そこには、商品部入口に立つ葵くんの姿があり、わたしは席を立つと葵くんの元へと歩み寄って行った。

「仕事中にごめん。」
「ううん、どうしたの?」
「取引先に持って行く資料と一覧、今日までだったよね?だから、それ取りに来た。」

わたしはその言葉を聞き「えっ?」と身体の力が抜ける感覚に陥った。

「さっき午前中に営業部に届けに行ったら葵くんが居なかったから、代わりに佐島さんに渡してもらえるように頼んだんだけど、、、」
「え、マジ?おかいしいなぁ、、、。ちょっと今、一緒に来れる?」
「うん。」

わたしはそう返事すると、杉浦主任に「営業部に行ってきます。」と声を掛けてから、葵くんと共に営業部へと向かった。

葵くんは営業部に着くと、自分のデスク周りを探し、他の担当者にも代わりに受け取って居ないか聞き取りをしていたが、誰も佐島さんから資料と一覧を受け取ってる人は居なかった。

そして葵くんは最終的に佐島さんの元へ行き「佐島さん。」と声を掛けた。

「はい、何でしょうか?」

わたしへの態度とは真逆の笑みを葵くんに向ける佐島さん。

葵くんが真剣な表情で佐島さんに向かい「今日の午前中、楠木さんから取引先へ持って行く資料と一覧、預かりませんでした?」と訊いた。

すると佐島さんから返って来た言葉は「いえ、預かっていませんよ。」だった。

「えっ?さっき、渡利さんが外出中だったので、佐島さんが代わりに渡してくれるって言うので、預けたじゃないですか。」

わたしは焦りながら、その言葉を佐島さんにぶつけた。

しかし、佐島さんは冷たい表情でわたしを見ると「何言ってるの?わたしはそんなの受け取ってません。」と言ったのだ。

え、、、信じられない、、、

何で?何でそんな嘘つくの?

焦りと困惑した表情を浮かべるわたしに気付いた葵くんは、「大丈夫。また印刷すればいいだけなんだから。」と優しい口調で言ってくれた。

「でも、今日中に届けるんだよね?時間が、、、」
「大丈夫だよ。一花はそんな心配しなくていい。とりあえず、また印刷しに行こう。」

そう言って、葵くんはわたしと共に商品部へ行こうとしてくれた。

すると、そんな姿を見た佐島さんは「楠木さんのミスなんだから、渡利くんが一緒に行く必要ないじゃない!」と声を荒げて言った。

そんな佐島さんの言葉に葵くんは振り向くと「楠木さんのミスかどうかは、あとでちゃんと調べますから。とりあえず、資料が優先です。」と言い、わたしちは急いで商品部へと走ったのだった。