それから、入社してそろそろ一ヵ月も経つ頃。
わたしはだいぶ商品部の皆さんと打ち解けていた。
最初はクールで怖い印象があった杉浦主任も仕事面でわたしを認めてくれるようになり、もう仕事を一人で任せてくれるようになった。
人間関係が苦手なわたしだが、頑張って商品部の皆さんとコミュニケーションを取るようにして、仕事面で連携が取れるように頑張り、不器用なわたしは"コミュニケーション"を取ろうとすると"丁度良い"が分からず、極端にフレンドリーになり過ぎてしまって、人によってはそれを毛嫌いし「この人なんなの?」とわたしを嫌う人も今までに何人も見てきたが、商品部の皆さんはそんなわたしを快く受け入れてくれた。
そんなある日。
わたしは取引先への資料を作成し終え、「杉浦主任に営業部へ届けて来ます。」と一声を掛けてから、作成し終えた資料と取扱い商品が記載されている一覧を胸に抱き、営業部へと向かった。
営業部の事務所入口まで辿り着くと、入口から葵くんを探した。
葵くんが一番をかけやすい上に、わたしが作成した資料は葵くんが担当する取引先のものだったからだ。
しかし、葵くんは外回りに行っているのか姿が見えなかった。
すると、そんなわたしに近付いて来たのは、佐島さんだった。
「何?渡利くんに会いに来たの?」
意地悪な笑みを浮かべ、嫌味な言い方をする佐島さん。
わたしは一応先輩である佐島さんに対して冷静に「資料を届けに来ただけです。」と答えると、佐島さんはわたしが胸に抱く資料に視線を落とし、「それ?わたしが渡利くんに渡して置いてあげるわ。」と言った。
わたしは少し不安を抱きながらも「じゃあ、よろしくお願いします。大事な資料なので、今日中に渡していただけると助かります。」と佐島さんに言った。
「何?その言い方は、わたしに信用がないのね。失礼にもほどがあるわ。とりあえず、渡利くんには渡しておくから、早く事務所から居なくなってくれない?目障りなのよ。」
佐島さんはそう言うと、わたしに背を向け自分のデスクへと戻って行った。
わたしはそんな佐島さんの後ろ姿に不安を抱きながらも商品部の事務所へと戻った。
すると、自分のデスクについた途端、同じチームど隣のデスクの横浜さんが「どうしたの?」と声を掛けてくれた。
「いえ、何でもないです。大丈夫です。」
「そう?資料、営業部の人に渡せた?」
「担当の方が外出中だったみたいなので、代わりに佐島さんに渡して貰えるようにお願いしてきました。」
「そっか!とりあえず、良かったね!楠木さん仕事早いから、わたしも負けてらんないなぁ!」
そう言いながら、横浜さんは笑顔で元気のないわたしを励ましてくれようとしてくれるのが伝わってきて有難かった。



