「わたしも、ビックリしたよ。」
「えっ?」
「葵くんが、、、新にそっくりで。」
わたしの言葉に葵くんは「あぁ、、、」と切なげに微笑むと「よく言われる。」と言った。
「最初、営業部で葵くんと目が合った時、新だと思っちゃった。居るわけないの、分かってるはずなのに。」
「そっかぁ、、、だから、泣いてたのか。」
「もう10年も経つのに、、、わたしは、あの時から時間が止まったままなの。全然、前に進めない、、、こんな姿、新が見たら、、、失望するだろうね。」
わたしがそう言うと、葵くんは「そんなわけないじゃん。兄貴は、一花がどんな姿だったとしても受け入れると思う。そして、一花が前に進めるように、手を引っ張ってくれると思うよ。」と言い、掬い上げていたカレーを口へと運んだ。
「そうかなぁ、、、」
そう言って、わたしは新からプレゼントしてもらった首元のネックレスに手を触れた。
「でも、、、その兄貴は、もう居ない。だから、、、俺が兄貴の代わりをするよ。」
「えっ?」
「俺が、、、一花が前へ進めるように、一花の手を引く。」
葵くんはそう言うと優しく微笑み、その微笑みにわたしは涙してしまった。
葵くんの気持ちが嬉しい涙。
それと共にその葵くんの微笑みが、あまりにも新そのもので、新が恋しいと感じた涙でもあった。
「、、、葵くん、ありがとう。」
わたしの言葉に葵くんは照れ笑いを浮かべると、「そうだ!今度、実家においでよ!俺も今は実家を出て一人暮らしをしているけど、一緒に実家に帰ろう?母さんも一花に会いたがってたから。」と言う。
「わたしも、久しぶりにおばさんに会いたい。」
「母さんも喜ぶよ。久しぶりにみんなでご飯食べようよ!」
そうだ、よくおばさんがわたしの分のご飯も用意してくれて、みんなでご飯を食べたっけ。
母子家庭で仕事で母の帰りが遅い為、帰ってもわたしが一人な事を知っていたおじさんとおばさんは、よく夕飯に誘ってくれて、みんなで囲む食卓の中にわたしを入れてくれたのだ。
でも、その時は5人だったけど、、、今は、、、



