きみの笑顔が咲く日まで


「社長、書類に印鑑をお願いしたいんですけど、」

と言っている途中で社長室にわたしが居る事に気付いた葵くん。

おじさんは「あぁ、デスクの上に置いといてくれ。それより、葵。ちょっと付き合え。」と葵くんに言った。

葵くんはデスクに書類を置くと「まさか、マキカ?」と言いながら、こちらへ歩み寄って来て、わたしの隣に腰を下ろした。

わたしの隣に座る葵くん、、、まるで新がそばに居るようで、それが葵くんだと分かっていても何だか嬉しかった。

久しぶりにやるレースゲーム。

もう10年はやっていなかったというのに、身体は不思議と覚えているものでそれなりに操作することが出来た。

懐かしい。
ただ、足りないのは、新だけ。

すると、やはりおじさんが一位。
いつも二位だったのは新だったのに、今では上位に上がれなくて不貞腐れていた葵くんが二位で、わたしは五位だった。

「葵くん、上手になったね。」

わたしがそう言うと、葵くんは「そりゃそうだよ!俺はもう子どもじゃない。もう24になったんだよ?」と自慢気に言った。

"一花に勝ちたい!"

あの頃、そう言って悔しがっていた葵くんに、わたしは敵わなくなっていた。

そうだよね。
わたしの中では時間が止まったままだけど、世間の時間は止まってはくれない。

世界は回ってる、毎日朝がきて夜になって、そしてまた朝が来る。

わたしの中の時計は、いつになったら動き出してくれるようになるんだろう。