それからわたしは一ヵ月間、今までお世話になった株式会社大東を勤め上げ、退職すると株式会社W.Tの本社へ転職した。
わたしは商品部に配属されることになり、出勤初日からおじさんが直々に出迎えてくれ、商品部の事務所へと案内してくれた。
「おはよう。」
そう言って、おじさんは商品部の事務所へと入って行く。
すると、事務所内に居た社員全員が「おはようございます!」と挨拶をしたのだが、わたしはおじさんに続き、事務所内に足を踏み入れ驚いた。
大企業なだけあって、事務所内の広さも社員の人数も元々働いていた会社とは比べ物にならなく規模が違い過ぎた。
「今日から商品部で働くことになった、楠木一花さんだよ。みんなよろしく頼むよ。」
おじさんから商品部の皆さんに紹介をしていただき、わたしは「今日からお世話になります、楠木一花です。よろしくお願いします。」と一礼をした。
「楠木さんの指導係は、、、そうだなぁ。杉浦くんにお願いしてもいいかな?」
おじさんがそう言うと、一人の男性が前に出てきた。
わたしよりも少し年上だろうか。
黒髪に前髪をセンターで分けた一見クールそうな印象の杉浦さん。
おじさんは「彼は商品部の主任の杉浦くん。今日から指導係を彼に任せるから、何か分からないことがあれば、杉浦くんを頼りなさい。」と言い、それから「杉浦くん、よろしく頼んだよ。」と言った。
「承知しました。」
クールな表情のままそう返事をする杉浦さんに、わたしは「よろしくお願いします。」と頭を下げた。
すると、杉浦さんは微かに口角を上げ「こちらこそ、よろしくお願いします。」と言ってくれた。



