きみの笑顔が咲く日まで


コンコン

今野さんが応接室のドアをノックする。

「失礼致します。」

そう言い、今野さんは応接室のドアを開けると、わたしを見て「どうぞ。」と中へ入るよう促した。

わたしは軽く会釈すると、恐る恐る開く応接室の入口へと足を一歩進めた。

そして、応接室のソファーに座り、そこでわたしを待っていてくれたのは、あの頃と何も変わらない、ただ少しだけ白髪が増えた柔らかい表情をするおじさん、いや、渡利社長だった。

わたしが「失礼致します。」と応接室の中へ足を踏み入れると、今野さんは静かにドアを閉めた。

わたしの姿を見たおじさんはソファーから立ち上がると、優しく微笑み「一花ちゃん、久しぶりだね。」と言った。

わたしはおじさんの目の前まで歩み寄ると、深く頭を下げ、「お久しぶりです、、、渡利社長。」と言った。

すると、おじさんはハハッと笑い「渡利社長だなんてやめてくれよ。いつも通り"おじさん"でいいよ。ほら、頭を上げて。」と頭を下げるわたしの肩にポンッと優しく手を置いた。

わたしはゆっくり頭を上げると、おじさんを目の前にし、涙が溢れてきてしまった。

ここは会社だ。
泣いちゃダメなのに、、、どうしても堪えきれなかった。

「ずっと、会いたかったよ。どうしてるか心配してたんだ。」

おじさんの言葉に更に涙が溢れてくる。

わたしは涙で声を震わせながら「すみません、、、お葬式が終わって以来、ずっと連絡もせず、会いにも行かず、、、あんなに良くしていただいていたのに、、、」と言った。

しかしおじさんは首を横に振り「いいんだよ。」と言うと、「わたしたちに会うと、新を思い出してしまうから、会いに来れなかったんだろ?何も一花ちゃんを責めてるわけじゃない。ただわたしも妻も、葵も、、、一花ちゃんのことがずっと気になっていて、君を一日だって忘れたことはなかった。わたしは一花ちゃんを、本当の娘のように思っているからね。」と優しく微笑んで見せた。

おじさんの言葉、その気持ちが嬉しくて、わたしは涙をボロボロ流し、「わたしも、、、一日も渡利家の皆さんを忘れたことなんて、ありません。」と言った。