冬の海から浮上する

 気がつけば走り出していた。
 

目の前に広がるのは一面の青。太陽に照らされ、輝く水面に手を伸ばしても届くことはない。


 薄っすらと聞こえるあの子の泣き叫ぶ声。 


 伝えたいことがあったのに、伝えようとした瞬間、自分は海に飛びこんでいた。


 遠くなる意識の中、頭はなぜか冷静で。このまま伝えたいことも自分も海の底に沈んでしまうのか。そう思うと水の中にいても頬が涙で濡れるような気がした。