だから、私もわざわざ聞かなかった。 ただ、そんなお父さんが、 「あいつは屋根の上を渡って、波にさらわれている人を助けたらしいぞ」 と嬉しそうに話したことがあった。 それは、震災から何年もたったある日の出来事だった。 私はそれを聞いて何だか、嬉しくなった。