嫌われているはずが、まさかの溺愛で脳外科医の尽くされ妻になりまして

(短期間で形だけだけど、好きな人の奥さんになれた幸せに感謝しなきゃ)

「そうか」

 遥臣は低く返事をしたきり黙っている。いつもの彼なら「準備がいいね。どんな職種さがしてるのか?」くらい返ってきそうなものなのに。

(やっぱり遥臣さん、調子悪いんだ)

 病院に泊まり込むような激務が続いても、こんなに疲れた顔は見たことがない。美琴はにわかに慌てだす。

「遥臣さん、大丈夫ですか?……まさか、熱があるとか」

 美琴は思わず遥臣の額に掌をあてた。風呂上がりのわりにひんやりしていているくらいで、どうやら熱はなさそうだ。

 ホッと胸を撫でおろし、掌を外そうとしたのだが、その手首を遥臣に掴まれる。

「心配してくれてありがとう。体調が悪いわけじゃないけど、大丈夫かどうかと聞かれたら、大丈夫じゃないな」

 遥臣は苦く笑い、美琴の手首を掴んだままゆっくり下ろす。

「た、体調が悪くないなら、よかったです。でもお疲れのようなので早く寝た方が……」