嫌われているはずが、まさかの溺愛で脳外科医の尽くされ妻になりまして

 給与優先で考えると職種が限られるし、そもそも選べる立場ではないかもしれない。でももし、やりたい仕事ができるとしたら――。

(やっぱり私、子どもたちと接する仕事が好き)

 一度は自信をなくしていた塾講師に再チャレンジしてもいいし、なにか別の形で子どもに関わる仕事を探してみてもいいかもしれない。

「――もう就職先、探してるんだ」

「わっ!」

 いつの間にか遥臣が背後に立ち、タブレットを覗き込んでいた。

 驚いた美琴はタブレットを置いて慌てて立ち上がる。夢中になっていて気づかなかった。

「は、遥臣さん、お風呂出たんですね、あ、まだ髪の毛が」

 美琴に指摘され、遥臣は首にかけていたタオルで濡れた髪をガシガシと拭いた。無造作な仕草がやけに男っぽい。しかもなぜか憂いを纏った瞳でこちらを見てくるのだから目に毒だ。

「えー、あの、そうですね。就職先、早めに探しておいて損はないので……離婚後のこと、ちゃんと考えておかないといけないですから」

 なんとなく気恥ずかしくなり、美琴はテーブルに置いたタブレットに視線を逃がす。

 できるならずっと遥臣のそばにいたい。でも、許されないことくらい分かっている。