嫌われているはずが、まさかの溺愛で脳外科医の尽くされ妻になりまして

 きっと彼は陽菜にせがまれて仕方なく喜びそうな話題を提供したに違いないが、なんとも恥ずかしい。

「もう、からかわないで」

 頬が熱くなるのを誤魔化すように握っていた手を放す。

「そうだぞ陽菜。先生を困らせるんじゃない」

 陽菜の父が助け舟を出してくれたのだが、陽菜はどこ吹く風だ。

「よく言うよねー、パパ、みこっちが瀬戸先生と結婚した話聞いて落ち込んでたくせに」

「な、なにを言ってるんだ」

 急に話を振られ、陽菜の父が慌て始める。

「パパ、みこっちのファンだったじゃん。あー残念、みこっちがママになってくれてもよかったのになー」

「こら、陽菜! 余計なことを言うな。あのっ、綺麗な方だと思っていましたが、変な意味ではなく……」

 彼の顔はどんどん赤くなっていくから、こちらもつられて照れてしまう。

「は、はい、もちろんわかってます。綺麗だなんて……お世辞でも嬉しいです」

「いえっ、お世辞なんかじゃありません、本当に――」

「あっ、先生!」

 いたたまれないやり取りを止めたのは陽菜の声だった。

 病室の入口に遥臣が立っていた。

「遥臣さん」

「美琴、来ていたんだ」