嫌われているはずが、まさかの溺愛で脳外科医の尽くされ妻になりまして

 遥臣の声と手の温もりに美琴の胸は甘く締め付けられる。

 こちらを見つめる瞳に愛しげな色が混ざって見えるのは、美琴がそう思いたいから。

(勘違いしちゃダメ。私がどんなに遥臣さんが好きでも、遥臣さんは私が結婚する相手としてちょうどよくて、うまくいってるからよかったと思ってるだけ)

 ぐるぐる巡っていた思考がピタリと止まる。

(え……好き……?)

 黄金に光る落葉の中、美琴はとうとう遥臣への恋心を自覚したのだった。