嫌われているはずが、まさかの溺愛で脳外科医の尽くされ妻になりまして

 声も出せずにわずかに頷くことしかできない美琴。ゆっくり指先と顔を離し、遥臣は微笑む。

「良かった、思ったより熱いみたいだから、気を付けて食べよう。その水、飲みかけで良かったら美琴にあげる」

「飲みかけ……」

 “間接キス”というワードが浮かんだ美琴は自分に思い切りツッコミをいれる。

(もうバカ! 今時中学生でも考えないわよ!)

「……ありがとうございます」

 必死に平静を装いながら、美琴は再びたこ焼きに楊枝を刺した。



「あぁ、思いっきり笑った!」

 お笑いライブを見終わった美琴は遥臣とともに再びキャンパスを歩く。

「漫才やコントのライブ、初めて見たけどあんなに楽しめるんだな。三組の中でも美琴一押しの玉ねぎクランチが安定感があって一番面白かった」

 興奮気味の美琴の横で遥臣は感心したような顔でうなずく。

「そうなんですよ! 玉クラは何回同じネタ見ても飽きないくらい完成度が高いんです」

「今更だけど、君がお笑い好きだっていうの、少し意外だったな」

 お嬢様育ちの自分を知っている遥臣がそう思うのも無理はない。美琴は苦笑して隣を見上げた。

「好きといっても動画をチェックするくらいですけど」