嫌われているはずが、まさかの溺愛で脳外科医の尽くされ妻になりまして

 学生の軽いノリに合わせて笑みで返す。

「違いますよ! 本当に美人だと思って。ウチの出身ですか? もしよかったら連絡先を……」

 前のめりになる彼。すると急に横から肩を抱き寄せられ、にょきっと腕が出てきた。

「出身なのは俺。この人は俺の奥さん。はい千円」

「遥臣さん?」

 遥臣は千円札をずいっと突き出した。やけに声が低い。

「奥さん……そうすか」

 少し残念そうな顔をしてお金を受け取った彼。たこ焼きを焼いている学生たちに「秒で失恋してやんのー」とはやし立てられる。

「うるせー、もう立ち直ったわ。旦那さん先輩だったんですね。めっちゃイケメンでかっこいいっす。はい、お似合いのふたりにふさわしい、あつあつたこ焼きどうぞ!」

 彼は明るい声でたこ焼きが入ったパックをふたつ差し出した。


 
 ふたりは屋台から少し離れた場所空いているベンチを見つけ、腰かけた。

「大体学年にひとりはいるんだよな、ああいうムードメーカみたいなやつ」

 懐かしそうに屋台の方を眺める遥臣。

「学生さんたちがみんなでお祭りを楽しんでるの、いいなーって思っちゃいました」