嫌われているはずが、まさかの溺愛で脳外科医の尽くされ妻になりまして

(本当に、優しい人だな……)

 乾いたばかりの髪をそっと撫でられ、美琴は心地よさに思わず目を細めるのだった。



 学園祭当日、ふたりは連れ立って遥臣の母校、応際大学を訪れていた。

「お天気に恵まれてよかったですね」

「ああ。ライブまでまだ時間があるから、いろいろ見て歩こうか」

「はい」

 高い空から差す秋の日差しを心地よく感じながら、広いキャンパスを巡っていく。奥の野外ステージではチアダンス部が演技を披露していて、盛り上がる様子が見えた。

「そういえば、陽菜ちゃんの志望校のひとつ、応際付属なんですよ」

 美琴はふと思い出す。

「へぇ、初耳だな、将来は応際大に入りたいのかな」

「はい。なんか頭良さそうでかっこいいし、付属の制服がかわいいからって言ってました」

「陽菜ちゃんらしいな。なら、早く治して勉強に集中させてやらないと」

 遥臣の言葉に黙って相槌を打つ美琴。

 陽菜の病状や今後の通しについて、美琴から遥臣に尋ねたことはない。彼の仕事について余計な話はしないようにしている。