嫌われているはずが、まさかの溺愛で脳外科医の尽くされ妻になりまして

 たしかにこの暮らしを始めてから、ふたりで外出したことはない。でもまったく不満はなかった。
 夫婦といっても、自分たちは仮初の関係で美琴の役目は彼の生活のサポートだ。遥臣は毎日多忙な日々を過ごしているのだから、せっかくの休みは家でゆっくり休んだ方がいいのではないか。

 美琴の戸惑いをよそに遥臣は笑みを浮かべた。

「俺も久しぶりに母校に行きたい。それにほら」

 彼の長い指がタブレットをタップする。リンク先には学園祭の催し物の演目やタイムテーブルが記載されていた。

「お笑い芸人のライブイベントがあるらしいよ」

「えっ、そうなんですか?」

 つい画面に前のめりになる。確かに“お笑いオンステージin応際大”と記載されている。

「わ、玉クラが出る!」

 出演者の中に”玉ねぎクランチ”の名前を見つけ思わず声を上げ、美琴はハッとした。

「もしかして私がお笑い好きってバレてました……?」

 おそるおそる遥臣を見る。

「前に陽菜ちゃんに聞いていたし、ときどきこのタブレットでも見てるだろう?」