嫌われているはずが、まさかの溺愛で脳外科医の尽くされ妻になりまして

 美琴と形だけの結婚をするよりも良かったのではないか。そう考えると、胸の奥がチクリと痛んだ。



 遥臣に外出しないかと誘われたのはそれから三日後だった。

「これ、来週末にあるらしいんだけど、ちょうど休みだから一緒に行かないか?」

 入浴をすませリビングに戻った美琴に遥臣がタブレットを見せてきた。そこには彼の母校、応際大学の学園祭の案内が表示されている。

 私立大学の名門である応際大の学園祭は伝統があり全国的に有名だ。規模も大きく、催し物もいろいろと開催される。

「応際の学園祭……」

 呟きながら彼のとなりに腰かける。婚約者だった昔、最後に彼と会ったのはその学園祭だ。彼に想いを寄せる女性に勘違い発言をして黒い歴史を刻んだのも。

 微妙な反応に気づいたのか、遥臣が顔を覗き込んでくる。

「デートとしては色気がない?」

「えっ、デートなんですか?」

 思いがけない言葉にドキリとする。しかもいつのまにかふたりの距離が近くなっている。

「夫婦がふたりで出かけるんだ。デートだろう?」

「でも……」

(もしかしたら、私に息抜きをさせてくれようとしてくれてるのかな)