嫌われているはずが、まさかの溺愛で脳外科医の尽くされ妻になりまして

「わかります。釣り合わないって。大病院のお嬢さんで、教育もしっかりされてきた清香さんの方がふさわしいです。しかも若くてかわいいですし」

「……なっ」

 素直に全肯定したのが意外だったのか、清香は目を丸くし、言葉に詰まる。

 さらに清香が美琴と根本的に違うのは、彼女は純粋に遥臣に想いを寄せていることだ。さきほど遥臣を追った表情は恋する女性のものに見えた。

(そういう意味でも、私は遥臣さんの隣にはふさわしくない。清香さん、ごめんなさい)

「自分でも分かっていますが、今のところ遥臣さんに必要としてもらっているので……ご理解ください」

 望まない結婚話や、しがらみを払しょくするための仮初の妻として、とはもちろん言えない。嫌味にならないよう、でも分かってもらいたくて言葉を探したがあまりうまくいかなかったようだ。

「へ、変な人ね。とにかく私は認めてないから!」

 清香は慌てたように言い捨てると、足早に去っていく。その華奢な背中を見送りながら美琴は考える。

(遥臣さんに結婚願望があって、しがらみとか気にしなければ、清香さんと結婚していたかもしれないんだよね)