嫌われているはずが、まさかの溺愛で脳外科医の尽くされ妻になりまして

 急に振られた話題に戸惑いつつ口を開く。

「えぇと、父は長野で地元企業のサラリーマンをしてます、母はスーパーでパートを……たまに親戚の農業も手伝っているみたいですが」

 昔はさておき、今はこれが事実だ。すると清香の眉間に皺が寄る。

「どうしてよ」

「えっ?」

「だって私はこの病院の娘で、財産だってある。将来は南田のためになる相手と結婚できるように、それなりの教育も受けてきたのよ。どう考えても私の方が瀬戸先生にふさわしいのに。実家になにも後ろ盾のないあなたが選ばれるなんて納得いかないわ!」

 一気にまくしたてられた勢いで、美琴は軽く上半身をのけぞらせた。

(おぉ……すごいはっきり言われた)

 清香は未だに遥臣に選ばれなかったことが不満なようだ。自分と遥臣は釣り合う者同士だと信じて疑わないのだろう。

 昔の美琴も清香と同じような価値観だった。しかも遥臣より“上”だと思っていたのだからたちが悪い。

(そういう感覚って、本人が気づかないと変わらないし、きっとそのままでも困らない人だっているんだろうな)
 気持ちいいくらい言い切られて、怒るどころか、妙な感慨を覚える。