嫌われているはずが、まさかの溺愛で脳外科医の尽くされ妻になりまして


(そうはいっても、院内学級作りましょうって言い出すのもでしゃばりすぎだよね……そういえば、瀬戸グループの病院はその辺なにか取り組んでいるのかな。遥臣さんに聞いてみようかな)

 陽菜と別れ、美琴は下りのエレベーターに乗る。1階で降りてエントランスに向かった……つもりだった。

「あれ?」

 見覚えのない廊下の角で立ち止まり、キョロキョロする。考え事をしているうちにエントランスの反対方向に歩いていたらしい。このまま進んだら迷ってしまう。

(またやっちゃった)

 心の中で溜息をつきすぐに踵を返そうとしたときだった。廊下の奥の方が騒がしいことに気づく。
 ガラガラという音が気になりこっそり顔を出すと、ストレッチャーに乗せられた男性が運ばれていくところだった。

 白衣を翻しながら速足でストレッチャーに付き添っているのは遥臣だ。

「バイタルは?」

「血圧がかなり下がっています。上が――」

「直接CTに向かうから手配を。場合によっては緊急オペになる。NCUの空きを確認してくれ」

 緊張感で張り詰めた空気の中、次々に看護師に指示を出す遥臣。落ち着いた声だが、その表情は真剣そのものだ。