嫌われているはずが、まさかの溺愛で脳外科医の尽くされ妻になりまして

 紺色の上着に白いパンツ姿で近づいてきた彼女は看護師長の堀田だ。
 50代前半で現場では鬼のように厳しく、看護師、ときには医師にまで恐れられているらしいが仕事を離れるときさくで話やすい女性だ。
 挨拶する美琴に堀田はふくよかな顔を綻ばせた。
 パーティーで美琴と同じ年頃の娘がいると言っていたので親しみを持ってくれているのかもしれない。

「今日も横沢陽菜ちゃんのところね? 私もこれから小児病棟に用事があるからご一緒していい?」

「はい、もちろん」

 堀田と並んで渡り廊下を歩いていると、行き交う看護師やスタッフに会釈される。美琴もその都度笑みを浮かべて頭を下げる。

「それにしても、瀬戸先生があなたと結婚してくれて助かったわ」

「え?」

 堀田に笑顔を向けられ、美琴は目を丸くする。

「有能な脳外科医で、瀬戸グループの跡取り。加えてあのルックスでしょう? 独身看護師たちは先生を狙って目の色変えてたの。そのうち清香さんまで戦いに名乗りを上げて、妙な空気になってたんだけど。あなたがぜーんぶ吹っ飛ばしてくれたから、せいせいしたわ」

「そういうことですか」