家政婦と雇い主のようなビジネスライクな生活を予想していただけに、肩透かしを食らった気分だ。
(雇い主として気を遣ってくれてるのかもしれないけど、意外と優しい人なのかも……)
以前婚約してたときは、遥臣に対して『胡散臭い顔で笑う、何を考えているか分からない人』だと思っていて、それ以上深く知ろうとも思わなかった。でも、妻役を務める以上、彼の性格や好みを知る必要があった。
ドリッパーからコーヒーの香ばしい湯気が立ち上ってくる。彼が酸味より苦みの強いコクのあるコーヒーが好きなことを知ったのももちろん最近だ。
「いい香りだ」
遥臣がソファー越しにこちらを振り返り、目を細めた。その表情は心からの笑顔のように見えてなぜか落ち着かなくなる。
「今お持ちしますね」
美琴はそんな自分に戸惑いながら笑みを返した。
数日後、美琴は南田国際病院を訪れていた。
エントランスを通りすぎ、エレベーターに向かっていると、よく通る声が自分を呼んだ。
「瀬戸先生の奥様!」
「こんにちは、堀田さん」
(雇い主として気を遣ってくれてるのかもしれないけど、意外と優しい人なのかも……)
以前婚約してたときは、遥臣に対して『胡散臭い顔で笑う、何を考えているか分からない人』だと思っていて、それ以上深く知ろうとも思わなかった。でも、妻役を務める以上、彼の性格や好みを知る必要があった。
ドリッパーからコーヒーの香ばしい湯気が立ち上ってくる。彼が酸味より苦みの強いコクのあるコーヒーが好きなことを知ったのももちろん最近だ。
「いい香りだ」
遥臣がソファー越しにこちらを振り返り、目を細めた。その表情は心からの笑顔のように見えてなぜか落ち着かなくなる。
「今お持ちしますね」
美琴はそんな自分に戸惑いながら笑みを返した。
数日後、美琴は南田国際病院を訪れていた。
エントランスを通りすぎ、エレベーターに向かっていると、よく通る声が自分を呼んだ。
「瀬戸先生の奥様!」
「こんにちは、堀田さん」



