嫌われているはずが、まさかの溺愛で脳外科医の尽くされ妻になりまして

 病院関係者のようだから、出口を聞いてみようかと思ったタイミングで、女性の声が聞こえた。

「私……ずっと先生が好きだったんです」

(え……告白?)

 ドキリとした美琴は、かけようとした声をグッと飲み込む。

 少し遠目ではあるが、女性は小柄で、清楚な服装が似合うとても可憐な顔立ちに見えた。

「先生はだれとも交際されてないんですよね。私と、結婚前提にお付き合いしていただけませんでしょうか」

(わ、積極的……って、私、なに立ち聞きしてるのよ!)

 人様の告白を盗み聞きするなんて趣味が悪すぎる。ここはそっと立ち去るべきだと思ったものの、好奇心が邪魔をして足が動かない。

(……彼はなんて答えるのかしら。きっとOKよね)

 どうしても返事が気になってしまい、そのまま様子を窺う。すると、低い声が聞こえてきた。

「申し訳ないのですが、お気持ちに応えることはできません」

(まさかのお断り⁉)

 だれとも付き合っていないのに、あんなかわいい女性の告白を断るとは。なんてもったいない。予想外の答えに、美琴は心の中でツッコミをいれる。